腸内細菌叢⑤ ー腸内環境の検査とは?何がわかるの?
2025年05月02日
穀雨(4/30-5/4)牡丹華さく(ぼたんはなさく)牡丹の花が咲きだす頃
新緑が深まってきましたね🌲
さて、今回は腸内細菌の検査についてですが腸内細菌の検査は色々とあり、主な検査種類を紹介します。(専門用語が入りますがご了承ください)
【腸内細菌叢検査】
① 16S rRNA遺伝子解析(主流)
•特徴:細菌のリボソームRNAの一部を解析し、菌の属レベル(genus)で同定
•長所:比較的安価で解析が早い
•短所:菌種レベルの精密な特定は困難。機能まではわからない
② メタゲノム解析(ショットガンシーケンシング)
•特徴:便中の全DNAを網羅的に解析。菌種レベルの同定と機能解析が可能
•長所:高精度、腸内ウイルスや真菌も検出可能
•短所:高額、解析に時間と技術を要する
③ メタボローム解析(代謝産物解析)
•特徴:腸内細菌が作る短鎖脂肪酸などの代謝産物を測定
•長所:機能的側面(腸内環境の「働き」)がわかる
•短所:菌の種類は特定できない
【検査手順(一般的)】
1.検査キットの取り寄せ
•医療機関または郵送型サービスから
2.自宅で便を採取
•指定された容器に少量採便
3.返送
•室温で保存可のものもあり、郵送で提出
4.検査機関でDNAや代謝物の解析
5.結果が返送/WEBで閲覧可能
•菌の構成、偏り、理想との比較、生活アドバイスなどが提示される
【検査でわかること】
1. 腸内フローラの構成とバランス
•善玉菌・悪玉菌・日和見菌の割合:ビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌、ウェルシュ菌などの悪玉菌、状況により働きが変わる日和見菌の比率を確認できます。
•主要な菌の割合:ビフィズス菌、乳酸菌、酪酸産生菌、エクオール産生菌など、健康維持に関与する菌の存在量を測定します。 
2. 菌の多様性
•菌種の多さとバランス:腸内細菌の多様性は、腸内環境の安定性や免疫機能に影響を与えます。多様性が高いほど、健康的な腸内環境とされています。
3. 腸内細菌の機能的特性
•短鎖脂肪酸の産生能力:酪酸や酢酸などの短鎖脂肪酸は、腸の健康や免疫機能に寄与します。これらを産生する菌の存在を確認できます。
•ビタミンやホルモン様物質の産生:ビタミンB群やエクオール(大豆イソフラボンの代謝産物)など、体に有益な物質を産生する菌の有無を調べます。
4. 体質や健康リスクの評価
•肥満傾向の評価:ファーミキューテス門とバクテロイデス門の比率(F/B比)を分析し、太りやすい体質かどうかを判定します。
•便通タイプの判定:便秘や下痢の傾向を、関連する菌の割合から推測します。
•疾患リスクの推定:腸炎、大腸がん、糖尿病、アレルギー、うつ病、認知症など、腸内フローラの乱れが関与する疾患のリスクを評価します。  
5. 生活習慣改善のためのアドバイス
•食事や生活習慣の提案:検査結果に基づき、善玉菌を増やすための食材や、腸内環境を整える生活習慣のアドバイスが提供されます。 
腸内細菌叢検査は、腸内環境の現状を把握し、健康維持や生活習慣の改善に役立てるための有用なツールです。検査結果をもとに、食事や生活習慣を見直すことで、より健康的な生活を目指すことができます。
一度ご自身の腸内環境を可視化されてみてはいかがでしょうか。